書き溜めていた童話や小話を、ここで披露していきたいと思います。
今回は、絵本にしたくて書いたお話しです。
2-3分で読める話なので、お時間あるときに読んでみて下さい。
アリさんの山 みんなの山
その1
一匹(いっぴき)のアリが、一所懸命(いっしょけんめい)小(ちい)さな砂粒(すなつぶ)を
ひとつひとつ集(あつ)めています。
それをカエルがその様子(ようす)をじっと見(み)ながら
たずねました。
「アリさん。何(なに)しているの?」
「ここに山(やま)を作ろう(つく)と思(おも)ってさ。」
「山(やま)だって!! そんなものおいらにだって作(つく)れないのに、
アリさんに出来(でき)っこないよ。」
「そうかな・・・。」
アリはそう言(い)うと、また黙々(もくもく)と 砂粒(すなつぶ)を、
ひとつ またひとつと 集(あつ)め始(はじ)めました。
しばらく経(た)って、カエルはびっくりしました。
なぜって?
それは、アリの集(あつ)めた砂(すな)の高(たか)さが、カエルの背丈(せたけ)までに
なっていたからです。
カエルはこう言(い)いました。
「ねえ、アリさん僕(ぼく)も手伝(てつ だ)っていい?」
「もちろん!」
と、アリはうれしそうに答(こた)えました。
その2
アリとカエルがせっせと山(やま)つくりに励(はげ)んでいると、
キツネがそれを不思議(ふしぎ)そうに見ていました。
「ねえ、二人(ふたり)とも何(なに)やっているの?」
「山(やま)を作(つく)っているんだよ。」
「やまー!!そんなもの作(つく)れるわけないじゃない。」
キツネは、笑(わら)いながら帰(かえ)っていきました。
しばらくすると、その砂(すな)のかたまりはキツネの背(せ)より
高(たか)くなってました。
それを見(み)てキツネはこうたずねました。
「ねえ、私(わたし)もこの山(やま)つくりを 手伝(てつだ)ってもいい。」
「もちろん!!」
アリとカエルは声(こえ)をそろえて こう答(こた)えました。
その3
3人(さんにん)で 力(ちから)をあわせて 山作(やまつく)りをしていると、
ライオンが からかい半分(はんぶん)でたずねました。
「やあ!君(きみ)たち何(なに)してるの?そんな泥(どろ)んこまみれになって??」
「山(やま)を作(つく)ってるんだよ。」
「山(やま)だって!!!正気(しょうき)かい?」
ライオンが 色々(いろいろ)と からかうのですが、
3人(さんにん)はお構(かま)いなしに楽(たの)しそうに
せっせと山作(やまつく)りに励(はげ)んでいます。
その山(やま)がどんどん大(おお)きくなっていくのを見(み)て、
ライオンも山作(やまつく)りに参加(さんか)したくなりました。
「ねえ。ぼくも参加(さんか)していい?」
「もちろん!!」
3人(さんにん)は声(こえ)をそろえてといいました。
その4
いつの間(ま)にか、動物達(どうぶつたち)は この山作(やまつく)りのうわさで
いっぱいになりました。
興味半分(きょうみはんぶん)で来(く)るもの、手伝(てつだ)いたいと思(おも)い 来(く)るもの、
様々(さまざま)です。
でも いつの間(ま)にか、森中(もりじゅう)の動物達(どうぶつたち)が
この山作(やまつく)りを手伝(てつだ)うようになりました。
ゾウが大(おおきな)きな石(いし)を運(はこ)びます。
トリが空(そら)から石(いし)を落(お)とします。
サルたちも 仲間(なかま)みんなで、石(いし)を転(ころ)がします。
そして、それからどれくらいの時間(じかん)が経(た)ったのでしょう。
とうとう動物達(どうぶつたち)は、山(やま)をひとつ作(つく)ってしまいました。
その5
出来上(できあ)がった山(やま)に みんなが集(あつ)まっています。
そして、一番初(いちばんはじ)めに手伝(てつだ)ったカエルさんがこう言(い)いました。
「これは、アリさんが作(つく)り始(はじ)めたからアリさんの山(やま)だね。」
みんなが、微笑(ほほえ)みながら うなづきます。
するとアリは、こう言(い)いました。
「いや、これはみんなの山(やま)だよ。」
「みんなの山(やま) !! 」
そう聞(き)いたとき、みんなが一斉(いっせい)に声(こえ)をあげました。
「そうだ!これは僕(ぼく)たちみんなの山(やま)だ !!! 」
みんな、お互(おたが)いに手(て)をとり、とても良(よ)い顔(かお)で笑(わら)っています。
その6
あれ、アリが、山(やま)のてっぺんに何(なに)か 埋(う)めているようです。
それを見(み)ていたカエルが聞(き)きました。
「アリさん。何(なに)を埋(う)めたの?」
「花(はな)の種(たね)をね。今度(こんど)は この山(やま)を花(はな)でいっぱいにと思って。」
この話(はなし)を聞(き)いて、みんなは
「うん」
とうなづきました。
その時(とき)には、否定(ひてい)するものは 誰(だれ)もいませんでした。
そしてみんな心(こころ)の中(なか)でこう思(おも)っていました。
「僕(ぼく)たちみんなが力(ちから)を合(あ)わせれば、
きっとこの山(やま)は花(はな)でいっぱいになるんだ。」 って。
おしまい。
さいごに
いかがでしたか?
気に入って頂けると嬉しいです。
自分の夢を信じる力。
そして、みんなの気持ちが1つに繋がったときの力。
そんな思いで書いてみました。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
今日もきっと良い日だよ!
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