”世界の人たちが仲良くなりますように” 願いを込めて
最近、世界中が緊張に包まれています。
一部の人はわかりませんが、ほとんどの人は、戦争はしたくない、平和であって欲しいと願っていると思います。
戦争は、どんな大義名分を作っても人殺しなんです。
私にも家族があります。そして、相手にも家族がいると思います。
今回は、平和についてを童話にしてみました。
といっても重たい話ではありません。気軽に読んで頂ければと思います。
おかあさんが笑った
その1
おかあさんが笑った。
ぼくも笑った。
今度はおかあさんが「くすっ」と声を出して笑った。
だから ぼくも「あははは」と大きな声で笑った。
テーブルの上の茶碗とコップがカタカタ音をたてた。
ぼくたちの声を聞いておとうさんが目をこすりながら起きてきた。
「なんだか楽しそうだな」と言って、おとうさんは、ぼくとおかあさんの顔をみて微笑んだ。
庭では、犬のシロもしっぽをふっているよ。
家中が笑いで包まれた。
家が大きくゆれた。
その2
ぼくはうれしくなって家を飛び出した。もちろん犬のシロもいっしょだよ。
公園の前で とってもきれいなおねえさんに出合った。
おねえさんは「ぼく、楽しそうね。」と話しかけてきた。
ぼくの顔をのぞき込むと「ウフフ」と笑い、赤と緑のはねを持つ鳥になって、空高く飛んでいった。
公園で遊んでいると、今度はおじいさんがやってきた。
ぼくの顔をみると「あははは。ゆかい、ゆかい。」と言って、おじいさんは大きな木になった。
「わあ。すごーい」ぼくは思わず声をあげた。
その3
おじいさん(大きな木)は、「わしのてっぺんまで登ってみるかい?」とやさしい声で話しかけてきた。
「うん」て答えると、おじいさんは ぼくの足元に手を伸ばし ぼくを木のてっぺんにのせてくれた。
自分の住んでいる町がとっても小さく見えた。
ぼくが楽しそうに町を眺めていると、おじいさん(大きな木)は「楽しいかい?」と声をかけてきた。
ぼくがうなずくと、おじいさん(大きな木)は「それは良かった」ちょっと元気なく答えた。
「どうしたの」って聞くと、おじいさん(大きな木)は「もっと遠くを見てごらん」って言った。
ぼくは、おじいさん(大きな木)が言ったとおり遠くを見てみることにした。
その4
ぼくの住んでる町を越えて、となり町が見えた。
そしてもっともっと遠くを見ていると、日本を越えて隣の国が見えてきた。
「ぼくと着ている服とちがうなあ。」って思いながら隣の国も超えてもっともっと遠くを見てみると、ぼくは思わず「あっ。」と叫んでしまった。
「おじいさん! たくさんの人がケンカをしているよ!!」
おじいさん(大きな木)は「見えたかい?あの国ではいつもケンカばかりしているんだよ」と言った。
みんなこわい顔をして、手には銃みたいなものを持っている。
そしておじいさん(大きな木)はぼくにこう言った。
「きみの力であの国のけんかを止めて欲しいんだ」
その5
「きみの力であの国のけんかを止めて欲しいんだ」
「ぼくにできるかな?」
「きみの元気な声を届けることができればきっとうまくいくよ」
「うんやってみる」
ぼくは大きな声で歌をうたった。
その声をきいて鳥たちがいっしょに歌いだした。
歌声が大きくなった。
風がその歌声を町中に運んでいった。
シロもしっぽを振りながら歌っている。
ぼくの住む町中の人が歌いだした。
そして となり町の人も、隣の国の人も・・・。
その大きな歌声は、とうとうケンカばかりしている国にも届いた。
すると こわい顔をしていたひとの顔がやさしくなり、手に持っていた銃をおろし、歌いはじめた。
ひとり、またひとりと、けんかばかりの国の人が歌い始めた。
そしてお互いが握手をし、手をつなぎはじめた。
それは大きな輪になった。
その輪は国を超えて、みんなが手をつないだ。
世界中の人が手をつないだ時、地球を包む大きな輪になった。そしてみんなで笑った。
「あははははー。」
その笑い声はいつまでもやむことがなかった。
いつまでも・・・。
地球が大きくゆれた。・・・・・
その6
・・・・・・トントントントン
おかあさんの朝ごはんを作る音で目が覚めた。
「あれ、今のは夢だったのかな?」どうやら夢らしい。
ぼくは、今の夢をおかあさんに話した。
「ねえ、おかあさん聞いて。あのね、すごい夢を見たよ」
ぼくは おかあさんに今朝の夢を全部話した。
その話を聞いておかあさんが笑った。
そしてぼくも笑った。
さいごに
いかがでしたか?
平和って言うと、何だか大きなことに感じてしまいますが、
今、こうして みんなと笑い合えることじゃないかな?って思います。
いつまでも、この日常が続きますように。
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