今回から、ミスコミュニケーションが起こる理由を考えてみようと思います。
人はコトバという道具を使えるようになり、他の動物と比べて圧倒的にコミュニケーション能力が高くなりました。その代り物事をコトバに変換するようになりました。つまり、簡略化して伝えるようになりました。
そのため、コトバは便利なツールですが、全てを伝えることは出来ません。ここに、ミスコミュニケーションが生まれることになります。
今回は、コトバの便利さとコトバの限界について考えてみましょう.
コミュニケーションを高める|コトバの便利さと限界
今回から、3回にわたって、ミスコミュニケーションが起こる理由について考えてみようと思うんだ。
博士!是非、お願いします。
なかなか、思った通りに伝わらなくて・・・・。
コミュニケーションって難しいですよね?
そうだね。
完璧なコミュニケーションなんて出来ないんだよ。
でも、そういうもんだとわかると、コミュニケーションが楽になるよ。
コトバって何だろう?
コトバを
- 音・響き
- 文字
- 情報・意味
に分解してみます。
まずは、音・響きです。
例えば、[机]は、[TU-KU-E]という響きで出来ています。1つ1つの[音]には意味がありませんが、3つの連続した響きで[机]を捉えることができます。
続いて、文字です。
これは、日本や中国 独特ものですが、1つのキャラクターで、そのものを表しています。[机]は1文字で意味を成しますが、英語などでは[desk] というように、音と文字が1対になっています。
そして、最後に【情報・意味を表す】についてです。
この音・響きや文字に情報・意味が入っています。但し、簡略化されているため、ミスコミュニケーションを起こす原因となります。
このことについて、詳しく述べてみます。
例えば、
机を辞書で引くと、
と出ていました。つまり、上の条件を満たすものは、[机(つくえ)]と捉えることができます。
では、
Aさん:「明日、机が届くよ。」
Bさん:「わあー。楽しみ!!」
さて、これだけの情報で、AさんとBさんは同じ机をイメージしているでしょうか?
おそらく、難しいですよね?
- 机の脚は、3つですか?それとも、4つ、5つ?
- 材質は、どんな材質ですか?
- 色は、何色ですか?
- 引き出しなどのアクセサリーは付いていますか?
- 大きさはどれくらいですか?
- カタチは、四角ですか?それとも丸型?
- ・・・・・・。
など、ちょっと考えただけでも、たくさん出てきます。キリがないですよね?
例えば、材質が木だったとしても、
- 木の種類は何ですか?
- 厚さはどれくらい?
- 天板の木目は、どういう木目ですか?
- ・・・・などなど。
このように、机1つとっても、[コトバではそのものを完璧に伝えることは出来ない]のです。
ここから、ミスコミュニケーションが生まれます。コトバはそのものを簡略化しているので、人によって同じコトバ[単語]でもイメージするものが違うのです。
これが、コトバの限界です。
但し、このコトバがなかったら、机1つとってもとても長い時間がかかってしまいますよね?
実際、[机]知らない世界の人に[机]を説明するのは難しいですよね?
実際、コトバを持たない動物は、今起きていることをそのまま見ています。
雨が降ったら、そのままの状況を見ているだけです。
ケガをしても、痛いという概念がないそうです。
人は、雨が降れば、「あっ、雨だ」と声に出さなくても、心の中で[雨]という言葉で、捉えています。
ネアンデルタール人とホモサピエンスは同時代に生きていましたが、ホモサピエンスが栄え、ネアンデルタール人は滅びました。体はネアンデルタール人の方が大きく強かったようです。
いろんな要因が考えられますが、その1つに【のどボトケ】の位置があるそうです。ホモサピエンスの方が、【のどボトケ】が下にあり、より多くの音が出せたらしいのです。その為、より多くの音を出すことが出来、コミュニケーション力が発達したと言われています。
先程の会話でも、
Aさん:「明日、長野産の杉の木で出来た、4つ足の高さが60㎝、縦50㎝、横80㎝で、天板の厚さが2㎝、右手に3つの引き出しがついてて・・・・」
Bさん:「一体、何の話?」
となってしまいます。
私たちは、コトバという道具を手に入れたおかげで、急速にコミュニケーション能力が増しました。しかし、コトバには限界があります。
コトバは簡略化して物事を伝える道具だということを、覚えておきましょう。
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